シロイヌナズナをもちいた雪腐病評価系の開発 ~藤井聡太四冠を抑え,局地的に星野教授一面トップを飾る!~

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 当日の紙面を見た方は,ご存じだと思うが,全国的なトップニュースは,棋士・藤井聡太氏の4冠達成であり,これを押しのけて掲載に周囲どころか当事者も驚いている!

 本研究は,北海道農業研究センターが中心となり,シロイヌナズナという雑草が積雪下,越冬する際に雪腐病が発生することを確認したものだ.雑草の病気がなぜニュース?と思うかもしれない.この雑草は,遺伝子数がすくなく,その操作が容易なため,さまざまな遺伝子の働きを知ることに適している.このため,今や植物界を代表する種の一つとなっている.その雑草が小麦やナタネなどの作物と同じ病気にかかるのだ.
 細かすぎて伝わらないかも知れないが,天下の農研機構と北海道大学と共に,本学も加わったプレス発表(https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nias/144113.html)には,遺伝子操作によって植物ホルモンの効果を失った雑草では,ホルモンの種類によって雪腐病にかかりやすく,あるいはかかりにくくなることが示されている(こういうことが小麦では,簡単にできない).つまり雑草を通じて植物の遺伝子の仕組みを知り,これを同じように病気になる作物への応用するための道具となるのだ.ここまで読めば,本研究がニュースとなることがお分かり頂けると思う.
 ちなみに当学科の星野は,本研究で雪腐病菌の同定と評価を担当した.実際に記者取材を受け,かつ本県の関係者は彼しかいないので,しれっと顔写真付きで取り上げられているが,彼一人で遂行できない点は明白である(これは公開論文の著者順からも分かる.https://doi.org/10.1093/plphys/kiab027).本人は「大々的に発表かかわらず,学科名も共同研究者名もなく,学科宣伝の機会を逃し,研究者として義理人情に欠いたのは,私の落ち度ではない」と証言している.

文責:星野 保